オニテンの読書会

文化・民俗や、オススメ本の紹介、思ったことも書きます。

書評エッセイ

同性愛への嫌悪、そしてそれは如何に表現されるのか。『同性愛嫌悪を知る辞典』ーオススメの本の紹介ですー

世界には様々な憎悪、嫌悪が渦巻いています。外国人に対する嫌悪(xenophobia、ゼノフォビア)、女性に対する嫌悪(misogyny、ミソジニー)、そして、同性愛に対する嫌悪(homophobia、ホモフォビア)など、問題が顕在化されるにともない、「人の嫌悪感」に…

台湾の『君が代』ー『君が代』を歌う祖母ー

こんにちは。台湾出身、日本在住のキャロルです。今回は、台湾における「君が代」のお話をしたいと思います。 【目次】 祖母が「君が代」を歌えるか、聞いてきた 「君が代」形成を知る 台湾の「君が代少年」ー植民地支配と『国歌』ー 「君が代」を歌う祖母 …

何も起きない探偵の物語。ポール・オースター『幽霊たち』

【108円本屋大賞】 某大手古書店チェーンに存在する100円均一棚。それは、売れ残り、値段が下げられ続けた本たちが、最後に行き着く、最果ての地である。しかし、そんな棚にも、傑作、名作が眠っている。そんな本を救い出し、読み、人に勧めたら、、、 と…

盲目の少女が、《見た》残酷な真実とは? ジッド『田園交響楽』

【108円本屋大賞】 某大手古書店チェーンに存在する100円均一棚。それは、売れ残り、値段が下げられ続けた本たちが、最後に行き着く、最果ての地である。しかし、そんな棚にも、傑作、名作が眠っている。そんな本を救い出し、読み、人に勧めたら、、、 と…

本を読まないとは、どういう状態か?  レイ・ブラッドペリ『華氏451度』、ショーペンハウアー『読書について』などから考える。

若者の活字離れが叫ばれて、久しく、大学生が本を読まなくなったと聞いても、別段驚くことではないと思ってしまいます。 今回の記事では、「本を読まない」という状態を考えてみたいと思います。 【目次】 本を読むことを禁止された世界では、テレビ画面が大…

よみがえる伝承・都市伝説 常光徹『学校の怪談−口承文芸の研究〈1〉』 おすすめの本の紹介 & めざせ!妖怪検定!⑤

今回の記事では、一冊の本の内容を紹介していきたいと思います。 〈目次〉 「学校の怪談」を研究する めざせ!妖怪検定!! 「トイレの花子」や「口裂け女」のような、1980年代に一世風靡した都市伝説の背後には、急速的な社会変遷との関係性があります。し…

数学者によって作られたアニメがある。  サイモン・シン『数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』 おすすめ本の紹介です。

みなさん、数学は好きですか?わたしは、数学の才能は、からっきしなかったのですが、数学者についての本を読むのは大好きです。フェルマーの最終定理や、ポアンカレ予想などの難問に挑む数学者の姿に、胸がトキメキます。 今回、紹介する本は、挑戦する数学…

2022年、フランスにイスラム政権が発足!? 予言か、それとも、文学か。 ミシェル・ウェルベック『服従』 おすすめ本の紹介です。

2017年のフランス大統領選では、中道で無所属のマクロン氏が、極右政党・国民戦線のルペン氏を破り、フランス史上最年少の大統領が生まれました。今回のフランス大統領選の決選投票は、主要政党不在の異例の投票となりました。 2017年のフランス大統領選で浮…

「闇の中世」と、「光のルネサンス」は如何に作られたのか? ジャック・ル=ゴフ『時代区分は本当に必要か?』 おすすめ本の紹介です。

古代、中世、近代、そして現代と、歴史を区切った「時代区分」についての学術書をご紹介いたします。歴史書というよりは、「◯◯時代」と呼ばれる時代区分を作り出した歴史家の思想や、作り出された時代区分の影響について考察されている本です。ですので、少…

疲れた心を癒す、明日も頑張ろうと思える 偉人たちの自伝・随筆 7冊

疲れた時や、自信がなくなった時、支えてくれる本があります。今回の記事では、おすすめの偉人たちの自伝・ 随筆を紹介いたします。 文学の偉人、宗教の偉人、物理学の偉人、さまざまな偉人の思想に触れられるような本を紹介したいと思います。 5月病、眠れ…

自爆する民主主義 「ポピュリズム」を知ろう!! 薬師院仁志著『ポピュリズム〜世界を覆い尽くす「魔物」の正体〜』

最近よく聞くけれど、いまいちよくわからない言葉ってありますよね。そうした言葉たちは、世界の移り変わりの中で消費され、いつしか常用される単語として残る、もしくはすぐに消え去っていくのかもしれません。 「ポピュリズム」、ニュースで聞くようになっ…

排外主義の盛衰を考える。 浜本隆三 『クー・クラックス・クラン:白人至上主義結社KKKの正体』 おすすめ本の紹介です。

アメリカではトランプ大統領が生まれ、ヨーロッパでは移民排斥を訴える極右政党への支持が急増している昨今、「排外主義」という言葉を耳にするようになりました。 人々は「他者」を生み出し、「他者」を恐れ、そしてその「他者」によって自分たちの既得権益…

亡き友を、弔い、挑む花の戦い 鬼塚忠『花戦さ』 この夏、映画化される小説のご紹介

男の友情、一つの道を極めようとする姿にキュンとなる方にオススメの小説を、ご紹介したいと思います。 題名は非常にかっこいいのですが、内容は、いたって平易で、読み終わるのに2時間くらいで十分です。気ままに読める小説ですので、新幹線や、飛行機の中…

外国文化と戦う「カタカナ」の物語    山口謠司『カタカナの正体』 オススメ本の紹介です。

わたし達の生活、職場、学校は、横文字であふれています。その横文字の単語が、アルファベットで表されることは、ほとんどなく、「カタカナ」で表されるのが普通です。 突如、現れる外来語、わたし達は、不安や疑問を抱きながらも、「カタカナ」で表されるこ…

30代なら読んでいるかも? 図書館にある面白かった10冊!!

小学校時代に出会い、心奪われた本をご紹介したいと思います。小学校という6歳〜12歳の劇的に知力・体力が変わる時期ですので、本も少しばらつきがあります!マンガも、絵本も含みます。非常にメジャーな『はだしのゲン』や『ズッコケ3人組』などは、のぞき…

Amazonで1円で買える おすすめ小説 5選をご紹介ー犬、愛、刀、病、空想ー

今回の記事では、わたしが読んで「面白かった!!」と思った小説を5冊、みなさんに紹介したいと思います! 【目次】 ①古川日出男 『ベルカ、吠えないのか?』 ②井上靖 『愛』 ③山本兼一 『いっしん虎徹』 ④北條民雄 『いのちの初夜』 ⑤本田誠 『空色パンデミ…

おすすめの小説 早見和真 『ひゃくはち』 野球をめぐる少年たちの物語

みなさんは、早見和真さんの『ひゃくはち』を読んだことがありますか?この作品は、野球の強豪校で、レギュラーを目指す(目指した)少年の物語です。わたしは、高校野球を見るたびに、この小説を思い出します。 早見和真著『ひゃくはち』のあらすじ 地方へ…

山本さほ『岡崎に捧ぐ』をすすめたい。 Dedicated to Okazaki-san 

みなさんは、『岡崎に捧ぐ』というマンガを御存知でしょうか? 気の抜けたタッチで描かれる作者の学生時代の思い出を描いた作品です。 絵が可愛らしくて、やわらかく、読んでいて笑い、気づけば泣いてしまっていました。 正直、どこで胸に刺さったのか、涙腺…

ツチヤタカユキ『笑いのカイブツ』を読んで。 思索する読書へ④

笑いの神へ問い続けた煩悶の日々、ハガキ職人版『沈黙ーサイレンスー』 現在、2月19日深夜、ラジオリスナーにとって、特別な夜でしたね。寝不足の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?。 ハガキ職人、その存在は、とても不思議です。ラジオ番組には欠…

プチ鹿島『教養としてのプロレス』から、『私にとっての剣道』  思索する読書へ③

プチ鹿島さんの著書『教養としてのプロレス』は、名著だと思う。なぜなら、彼自身の思い出と反省が、「プロレス」という単語に集約されているからだ。 『教養としてのプロレス』の内容は、以下の通りです。 「プロレスを見ることは、生きる知恵を学ぶことで…

岡潔『春宵十話』から、 「『役に立つ』と私」思索する読書へ② 

みなさんは、何のために生きていますか?単細胞な私でも、ときどき悩んでしまうくらいなので、多くの方が「生きる」ことに悩んでいるのではないでしょうか。 私が、落ち込んだ時、思い出す言葉があります。それは、高名な数学者である岡潔さんの言葉です。 …

江戸川乱歩『芋虫』から、『ぐちゃぐちゃと結婚』思索する読書へ① 

江戸川乱歩『芋虫』を読みました。物語のあらすじは、 時子の夫は、奇跡的に命が助かった元軍人。両手両足を失い、聞くことも話すことができず、風呂敷包みから傷痕だらけの顔だけ出したようないでたちだ。外では献身的な妻を演じながら、時子は夫を“無力な…