オニテンの読書会

文化・民俗や、オススメ本の紹介、思ったことも書きます。

アカデミックを「やめる」のではなく、アカデミックに生きてほしい

 わたしのブログには、学振DCを目指す大学院生が多く訪れてくれています。そんな中、時折あるのが、学振DCに落ちた院生の方のアクセスです。

《目次》

 
(2019/11/20 追記)
「アカリク アドベントカレンダー」に参加しました。
https://adventar.org/calendars/4166

 

(↓実際の検索キーワード)

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●よくある喝破について思うこと

10月の学振DCの発表時期になると、よく有名大学の教授や一流の研究者の方々が、「学振落ちたけど、大学教授になれるから、大丈夫!」みたいなコメントがあります。

わたしは、そういったツイートを見るたび、

お前の親父の年収をさらせ。もしくは、学振取れなかった時の金策について書け。

と考えています。どうせ、いいとこのぼっちゃんなんだと思いますし、そういう人ほどなぜか留学しています。つまり、海外留学の奨学金をとったか、もしくは、親の財力があるかだと思います。

家族にも頼れない院生にとって、学振とれなかったら博士課程への進学をあきらめる、というのは誰しもが頭によぎるものです。学振で生活費、研究費を出す、それができなければ、やめるしかない、と思っている人にとって、上記のようなツイートよりも、奨学金情報を掲示してあげることの方が重要なのではないでしょうか。

 

●アカデミックをやめるのではなく

学振取れなかったら、アカデミックをやめると検索した方に伝えたいのは、アカデミックをやめると考えている人は、アカデミックに「なる」と考えているのではないかと思います。つまり、大学教授、もしくは研究員として就職したいと考えているのだと思います。しかし、それは狭き門です。公募は、年に数大学、かつ年齢、専門分野など、多くの条件が課せられます。また、その公募にたどり着くまでが、本当に大変ですよね。修士課程、博士課程の金策も多くの院生が悩んでいることなのではないかと思います。わたしは、そんな悩みを解消するべく、学振DC、そして、貸与型奨学金の返還免除について記事を書きました。

しかし、学振や給与型奨学金を得るのも難しい。アルバイトしながら、修士・博士課程で研究成果を出しながら、家賃や授業料を出すのは本当に難しいことですし、親から援助を得ることも難しい人も多いと思います。

そこで、考えていただきたいのが、「アカデミックに生きる」ということです。大学教授になる、研究員になることを主眼に置くのではなく、自分の専門を活かし、お金を稼ぎ、そして研究をする場所を自分でつくり、それを発表すること、つまりは、在野として生きて行くことも選択肢に入れて良いのではないかと思うのです。

 

●自分の経験として

というのも、私自身が在野の人間ですが、研究しています。わたしは、博士課程一年目で、自分は大学教授に向かないことを痛感し、大学教授にならずに研究して生きていきたいと考えるようになりました。ただ単位が欲しい学生への授業、オープンキャンパスへの対応、教授同士のライバル関係などなど、わたしには大学で生きていく自信がありませんでした。

また、考えた問題があります。「もし、10億円もらったら何がしたい」と。

私の答えは、「自分で研究所をつくり、図書館をもち、ときには海外旅行にいき、日々家族や友人たちと語らい合いたい」と。

そうして、わたしは博士2年から、自分の研究所をつくる運動をはじめました。その一環で、いまわたしは起業しました。現在、月収30万円、ちなみに、平均1日4時間くらいしか働いていません。ワークライフバランスとしては、結構良い方かと思います。

そして、何よりも本を買い、読むことができる環境を得ることができました。

そこで、わたしは皆さんに問いたいのです。

アカデミックに生きることは、そんなに難しいことではないのではないでしょうか。

わたしの友人には博士課程を中退しゲーム会社に就職した人、学芸員として活躍している人、わたしのように起業する人間がいます。

 

 

大学教授を目指すことを否定しているわけではありません。目指して欲しいと思っています。しかし、失敗し、目の前が真っ暗になっても、それが人生の終わりではありません。アカデミックはやめるものではありません。アカデミックに生きるか、どうかであると思うのです。

もし、学振に落ちてお金について悩んでいるのであれば、公務員や民間企業を受けてみてはいかがでしょうか。働きながら、勉強することは不可能ではありません。たしかに、新奇性とんだ、優れた研究成果を残すことは難しいかもしれません。しかし、研究にはお金が必要です。お金の悩みを解決するには、お金を得るしかありません。

だからこそ、一回、還俗しましょう。大学院という俗世から隔離された場所から、少し離れて見るだけで、とても気持ちが楽になります。

 

悩まないでください。理想の自分との乖離に。

少しずつ、前に進みましょう。