オニテンの読書会

文化・民俗や、オススメ本の紹介、思ったことも書きます。

ヒトラーは空想の友達『ジョジョ・ラビット』

この間、台湾帰省中、映画『ジョジョ・ラビット』(Jojo Rabbit)を見まして、普通にいい映画でしたので、感想を書きます。第二次世界大戦中のドイツ人少年を主人公とする作品ですが、軽快でテンポよく物語が進んでいました。

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日本の オフィシャルサイト:http://www.foxmovies-jp.com/jojorabbit/

ネタバレのないあらすじ:

 

物語は敗戦近くのドイツで展開します。10歳のジョジョはナチスが大好きで、彼を励ます空想の友達は、あのアドルフ・ヒトラーでした。

映画の最初はジョジョがワクワクして、青少年集団ヒトラーユーゲントの合宿に参加するシーンから始まります。合宿で彼は他の子と触れ合って、教官のクレンツェンドルフ大尉、ミス・ラームなどの大人たちとも知り合いました。

ジョジョの父親は戦争で音信不通となっているますが、母親のロージーは素敵な母親でした。ある日、ジョジョは自家の2階で隠し扉を発見し、中はまさか一人のユダヤ人の少女が隠されていました。今までユダヤ人を最大な敵を見なしてきたジョジョはどうすれば良いか、彼は悩み始めました……

(オフィシャルサイトでより詳しいあらすじを書いていますが、ちょっとネタバレ気味なので載せません)

 

ジョジョの母親は本当にかっこよくて、良い母です。

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出典:https://www.slashfilm.com/jojo-rabbit-cast-featurette/

親が頑張って子どもの夢を守っている側面は、ロベルト・ベニーニの名作、『ライフ・イズ・ビューティフル』と少し似ている気がします。しかし、『ジョジョ・ラビット』の監督はタイカ・ワイティティ(Taika Waititi)なので、大人たちは結構イカれています(笑)。

(タイカは『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(What We Do in the Shadows)と『マイティ・ソー バトルロイヤル』(Thor: Ragnarok)の監督でもあります。見たことのある人はその狂気さを知っているはずです(笑))

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ヒトラーを主題とする作品は多いですが、『ジョジョ・ラビット』でのヒトラーはあくまでも10歳の子どもの空想の中に出てくるキャラクターなので、10歳の子どもの想像の枠を超えません。空想のヒトラーはいつも臆病のジョジョに助言をしたり、一生に悩んであげたりするシーンも多くあり、本当に友達のようでした(笑)。

空想のヒトラー役は監督のタイカ自身が演じていました。

合宿キャンプを参加する際に、教官たちはユダヤ人を人間離れの悪魔として子どもたちを教え込む話も興味深いものでした。逆にいうと「我々」とかけ離れた「彼ら」のイメージを作り上げるだからこそ、相手を傷づけることができるのでしょう。しかし、「彼ら」と「我々」との距離はそこまで遠くないことを知った後、状況が変わっていくのです。お互いの理解は本当に重要です。

 

 

 また、個人的にクレンツェンドルフ大尉が好きです!!!

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出典:http://www.foxmovies-jp.com/jojorabbit/cast/

俳優のサム・ロックウェルは『アイアンマン2』の中に、スターク・インダストリーズのライバル企業のCEOも演じています。

 

そして、戦争が終わりに近づけると、ちょっと前の『ヒトラーの忘れもの』(Under sandet,2015)という映画の内容を思い出しました。『ヒトラーの忘れもの』はドイツの少年兵たちが敗戦後、デンマークの捕虜になって、地雷撤去の作業を命じられていた話です。『ジョジョ・ラビット』の軽快さと比べて、こっちは完全に笑えない話でした。

でも主人公のジョジョと、『ヒトラーの忘れもの』の中にいた少年たちの距離は、そんなに遠くないと思います。少し心配していたが、『ジョジョ・ラビット』の最後は、オープンエンドの形式で終わり、なんだかんだハッピーで本当に良かったです。

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『ジョジョ・ラビット』は小説Caging Skies(2008、直訳すると:空を閉じ込める)によって改編されたものです。作者のChristine Leunensは現在ニュージランド在住であるが、イタリア人の母とベルギー人の父を持っているます。幼少期の彼女はフランスに移住し、画家の祖父と仲良くしていたそうです。

(著者のウェブサイト:https://www.christineleunens.com/ )

 映画のほか、Caging Skiesは2017年の際に、劇作家のDesirée Gezentsveyによって同じタイトルの舞台劇としてアレンジされていました。 

Caging Skies: A Novel (English Edition)

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  • 作者:Christine Leunens
  • 出版社/メーカー: The Overlook Press
  • 発売日: 2019/08/06
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今日は『ジョジョ・ラビット』(Jojo Rabbit)日本での公開日なので、皆様も是非映画館で鑑賞してくださいね!