オニテンの読書会

文化・民俗や、オススメ本の紹介、思ったことも書きます。

繰り返す毎日に嫌になったら、見るべき傑作映画『恋はデジャ・ブ』

 みなさん、毎日毎日同じことの繰り返しで、嫌になっていませんか?そんな時に、見て欲しい映画があります。それが、この『恋はデジャ・ブ』です。正直、この映画、名前のせいで損しています。邦名があまりにもダサく、見る気が起きない方もいらっしゃるかも知れませんが、絶対に見て欲しい映画です。

恋はデジャ・ブ (字幕版)

恋はデジャ・ブ (字幕版)

 

 

 

 

 この映画の原題は、Groundhog Dayで、映画の舞台となるお祭りの名前になっています。

 ちなみにですが、わたしの知る限りでは、ふたりの研究者によって引用されています。一人は、國分巧一郎、もう一人は、ピエール・バイヤール。ピエール・バイヤールは以下の本の著者です。

読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)

読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)

 

 哲学者に語りたいと思わせる映画、なにか考えさせる映画であることは、間違い無いのです。

 

● あらすじ

自己中心的なテレビの人気気象予報士のフィルは、伝統的なお祭りGroundhog Dayの取材のため田舎町のペンシルバニア州パンクスタウニーを訪れる。無事に取材を済ませたフィルであったが、吹雪が町を直撃し、足止めを喰ってしまう。しかし、その翌朝フィルが目覚めてみると昨日と同じ Groundhog Dayのお祭りが行われている。同じ日々を繰り返すことになったフィルは、自殺を試みたり、暴飲暴食、犯罪を犯したりと、様々なことを試すが、この1日から抜け出すことができなさい。そんな中、同行したテレビスタッフのプロデューサーであるリタへ恋心を募らせることになる。彼は、繰り返される1日の中で、恋を成就させ、明日へと踏み出すことができるのか!!

 

● 繰り返される日々、だからこそ為せるものがある。

この物語は、とある田舎町の1日を繰り返すことになる一人の男性のお話です。この設定は間違いなく、田舎町の閉塞感、毎日同じことの繰り返しの生活を、「1日の繰り返し」という直接的な比喩によって表現しています。

 わたしたちの生活も、毎日同じ場所に向かい、毎日同じ仕事をする、そして、明日も同じことをする、という繰り返しによって成り立っています。

 そのような生活に嫌気がさし、仕事をやめたい、この町から出たいと思うひとも多いと思うのです。しかし、そんな方にこそ、この映画をススメたい。なぜなら、この映画の主人公は、繰り返される毎日の中に、その日々を充実させる術を見出しているからです。

 少しネタバレになりますが、彼は、その繰り返される1日の中で、ピアノの無料体験に通います。通い続けるのです。そして、その結果は、映画を見てのお楽しみなわけですが、ここでこの映画のメッセージが明確に見て取れます。

 それは、繰り返される日々だからこそ、為せる、成ることができる領域がある、ということです。ピアノは、もちろんですが、仕事や、料理だって、短期間で上手になれるものではないですし、プロの領域を目指すのであれば、反復練習は避けることはできません。自分のすべきこと、したいことを繰り返すことで、なりたい自分になれる。そう、この映画は伝えてくれるのです。

 

●繰り返す日々だからこそ、生きる意味がある。

 主人公のフィルは、繰り返される日々の中で、あるホームレスと出会います。このホームレスはその日病で倒れ、死んでしまいます。フィルは、彼を救うべく、あらゆる手を尽くしますが、彼は死んでしまうのです。彼は、その日死ぬ運命にありました。それによって、フィルは、このホームレスの男性にせめて良い1日を過ごして欲しいと、考えます。

 フィルは、人助けのために動き始めるのです。このフィルの行動は、わたし達に繰り返される日常だからこそ、他者を思いやる必要性を教えてくれます。それは、繰り返される日常も、だれかの大切な1日なのだということです。繰り返される日常だからこそ、その1日をより良い1日にすること、それが、生活を充実させるものであることを表現しています。

 

●「日常の祝祭化」の果てに

 日常の祝祭化が叫ばれて久しいですが、現在では、インスタグラムなどにより日常を如何に盛るか、がSNS上の関心事になっています。日常を如何に非日常にするか、もしくは、見せるかが、重要になっている現在、この映画は、その虚しさを教えてくれていると思うのです。

 この映画は、お祭りの日が舞台です。つまりは、祝祭が日常化された、まさに、予言的な状況を描いています。そして、何かを変えるのは、繰り返される日常の中にあることを教えてくれています。

 現在の世界において、自分を変える、そして、社会を変えることの一歩が繰り返される日常において、他者を思いやり、なりたい自分へ向かって努力する彼の姿は、いまこそ、見直されるべきものなのではないでしょうか。

 

今回の記事では、大好きな映画『恋はデジャ・ブ』について書きました!ぜひ見てくださいね!!!

恋はデジャ・ブ 4K ULTRA HD [4K ULTRA HD] [Blu-ray]

恋はデジャ・ブ 4K ULTRA HD [4K ULTRA HD] [Blu-ray]

 

 

 

 

 

【日常の祝祭化については以下の記事を書いています。】 

www.oniten-yomu-book.com