読み書き障害(ディスレクシア)生徒に対する英語学習方法について
現在は、わたしは中高生を対象に英語を教えています。読み書き障害(ディスレクシア、Dyslexia)の生徒を受け持っており、英語を一緒に勉強しています。彼は中学3年生で、ディスレクシアのほかに、精神年齢が実年齢に比べ、幼いだけでなく、幼少期の体験から極度の不安に襲われ、勉強に集中できないことも多々あります。彼がわたしの運営する英語塾に通うようになって、10ヶ月間でほぼ英語が読めない状態から、中学3年生レベルの英語をゆっくりとしたスピードではありますが、読めるようなるだけでなく、テストの点も大幅に改善されました。
本人に了承を得、これまで効果的だった英語の勉強方法について書いていきます。常識的・医学的には、間違っていることを書くことになるかもしれませんが、あくまでも、わたし、そして生徒自身が効果があると認めた勉強法となります。ディスレクシアをもつ子どもと関わる先生、親御さんに読んでいただけたら幸いです。
ディスレクシアとは
ディスレクシアとは、学習障害の一つで、特徴は語認知の正確性と流ちょう性あるいはそのどちらかに問題があり、つづりの苦手さや音から文字への変換するのがとても苦手、という文字の読み書きについての障害です。
国立成育医療研究センターのホームページを参考にしますと、まず、初期症状として
- 幼児期には文字に興味がないし、覚えようとしない
- 文字を一つ一つ拾って読む
- 語あるいは文節の途中で区切ってしまう
- 読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む
- 文字間や行間を狭くするとさらに読みにくくなる
- 文末などは適当に自分で変えて読んでしまう
- 「わ」と「は」、「お」と「を」のように耳で聞くと同じ音(オン)の表記に誤りが多い
- 画数の多い漢字に誤りが多い
などの症状が見られるようです。(参考ディスレクシア | 国立成育医療研究センター)
ユウト(仮名)君の話
ユウト君は、現在中学3年生の男の子です。ディスレクシアだけでなく、精神年齢は約11歳と実年齢に比べ幼く、幼少期の経験から極度の不安に襲われることがあり、なかなか勉強に集中できないことが多い少年です。
彼がわたしの塾を訪れたのが、今年の2月、定期テストではほぼ全ての科目が一桁台と、勉強はかなり苦手な様子でした。
わたしの塾に来てくれた時、1月に受けた英検4級で不合格という状態でした。4級のリーディングのスコアは壊滅的で、リスニングに勝負をかけるという戦略を勧めました。
彼は、勉強に対して消極的で、なかなか宿題もしてくれない、すぐに不機嫌になるなどなど、ふつうに勉強すること自体、とても難しいことだったのですが、6月に受験した英検3級に合格し、現在では英検3級や県高校入試レベルの長文であれば、8割正答するようになっています。(もちろんスペリングは苦手です。)
この傾向から、ライティングの勉強は時間をかけ一文字ずつ学習するしかなく、膨大な時間がかかることが予見されますが、リーディングであればかなりのレベル(偏差値50程度の大学入試レベル)までは、確実に伸びると考えています。
効果的な勉強方法
10ヶ月間で、わたしと彼が効果を実感、英語力を急激に向上することができた勉強法をご紹介します。
ディクテーション
まず、中学生レベルの英文を聞き、それをスペルは間違っていいので書き取ります。ここで注意して欲しいのは、スペルはどうでも良いということです。スペルにこだわることはやめて、思いつくままに書きとる。例えば、「read」であれば、「liead」と書いてもOKです。
わたしのオススメの本は、以下の本です。わかりやすく、聞きやすい、ディクテーションの練習がしやすい文量となっています。
- 作者: 国弘正雄,千田潤一,久保野雅史
- 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
- 発売日: 2001/04/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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その後、赤ペンで、正解を書いていきます。何が間違ったのか、意識しながら掻き取ります。かなり時間がかかるかと思いますが、ゆっくりで構いません。
音読の徹底
前述のディクテーションしたものでも良いですし、英検の問題でも良いので、声を出して長文を読んでもらいます。もちろん、読み間違え、つっかえたり発音できない単語はあっても良いです。というか、いっぱいありますよね。すぐに発音できない単語は、メモをとり、単語カードを作成します。
単語カードを繰り返す
単語カードは以下のような簡単な作りで良いです。
これを見せて、5秒でその単語を発音できればOK,だめなら次回も使う。というやり方を繰り返します。
ユウト君の場合、およそ10日くらいで覚えられるようになってきます。繰り返し繰り返し、発音し、単語のだいたい形を覚えていきましょう。
単語を覚えるヒケツは、まずだいたいの形を覚えることです!たとえば、「environment」という単語があれば、「e〇vi〇〇〇〇nt」と程度覚えてもらえば、ほぼenvironmentを発音することができます。
発音できる単語は、覚えやすくなります。これは、ディスレクシアでなくても同じで、まず単語は発音を覚えることからだと思います。
リスニング問題の言語化
その次に、リスニング問題の言語化です。英検3級を受験するのであれば、英検準2級のリスニング問題を使っていきます。
この練習では、流れてくるリスニングを一文一文とめ、なにを言っているのか、だいたいでよいので答えさせます。
なぜ効果的なのか。おそらく…
中学生の覚えるべき単語は、だいたい1000語ほどしかなく、英文のバリエーションも限定されています。ですから、一つの単語に時間をかけてじっくりと覚えるということがとても有効です。そして、1日に大量の英単語を発音させます。なぜなら、1000単語しかないので、1日200単語ほど発音すれば、なんとなくわかるレベルの単語が増え、読むことが少し苦でなくなっているのを実感できます。じっくりとテキトーに、だいたいの意味を覚える。これで十分にリーディングの点数が上がります。
しないほうが良い勉強法
フォニックス
フォニックスとは、英語の「スペリング(つづり)」と「発音」の間にある法則を学ぶことで、英語の正しい読み方をかんたんにマスターすることができると考えれています。例えば、B→b, K→cと対応する発音を覚えるというものです。
フォニックスは一語一語、すべてのアルファベットに注視しなくてはならず、ユウト君は混乱してしまうとわたしに伝えてくれました。ユウト君はわたしの塾に来塾する前に何校か英語塾に通ったそうですが、どこもフォニックスを勧めてきたそうです。
わたし自身フォニックス否定論者なので、フォニックスはやはりダメなのだな、と思ったのですが、ディスレクシアの子にとって、ひとつの単語を注視することは大変なことです。だいたいの形で、発音を類推するほうが有効であると思います。
スペルにこだわる
前述のフォニックスと同様に、スペルにこだわるのは絶対にやめたほうが良いです。スペルを覚えるのは、ライティングに使うだろうごく少数のものに限定し、発音でき読める単語を増やすことのほうが重要ですので、気をつけてください。
今回の記事では、わたしが実践したディスレクシアの生徒に対する英語学習方法について書いてみました。
《読んで勉強になった本》
うちの子は字が書けない (発達性読み書き障害の息子がいます)
- 作者: 千葉リョウコ,宇野彰
- 出版社/メーカー: ポプラ社
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